中学受験

「サピックスで成績が上がりません…」→考えるべき事とは?

小学生の保護者です。
SAPIXに通っていても成績が伸びていません。クラスも下のクラスになってしまいました。
受験も合格できるのか不安です。
どうすればいいのでしょうか。

中学受験を志してハイレベルな塾に入る。
そもそもサピックスの入塾テストに合格している時点で、きっと努力して来られたのだと思います。

ただ、その道が必ずしも成功するわけではありません。
そこから成績が伸びずに悩んでいる方からのご相談は実はかなりたくさんいただきます。

受験に間に合わないのではないか?合格できないのではないか?と不安にもなりますよね。

この記事では、これまで私のもとに届いた
サピックス生の保護者の方からのご相談に対して、
状況を好転させていった人たちに共通する大事なポイントをお伝えしたいと思います。

この記事でわかること
☑サピックスで成績が伸びない主な原因
☑成績を伸ばすために必要なこと
☑SAPIXに通い続けるべきなのか?やめるべき?

もちろん、対策はケースバイケースなところも多いのですが、
現状を打開するヒントになると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

そもそも、なんのためのSAPIXなのか?

改めて確認するようなことではないかもしれません。
わかっている方は読み飛ばしていただいても大丈夫。

ただ、
・周りが通っているし…
・良い塾に行かせたほうがいいと思って…
・なんとなく有名で
という親御さんもいらっしゃることは事実です。

サピックスは中学受験対策で大変有名な塾ですが、
特に対象となるのは主に、御三家・超難関校を志望する生徒です。

したがって、最高峰の受験にチャレンジしたい方を中心に設計されています。

クラス分け等もあり、さまざまなレベルに対応しているように見えるかもしれません。
たしかに対応している部分もあります。ゼロとは言いません。

ただ、やはりハイレベルな受験対策がメインの内容だと捉えて間違いありません。

それゆえ、難関でない中堅以下の中学校受験を考えているなら、サピックスである必要はないかもしれません。

※また完全な進学塾なので、補講塾的な要素を期待して通わせるのはあまりおすすめできません。
(補講塾的要素というのは、基礎を固める、遅れを取り戻す、小学校のテストで点がとれるようになる、など)

サピックスに向いているだろう人  サピックスに合わないだろう人
・難関、最難関中学を目指したい人
・基礎がしっかり固まっていて少なくとも学校の勉強では苦労しないレベルになっていること
・勉強習慣がしっかり出来ていて家で
・考えたり、理解したりを積み重ねることが出来る人
・中堅以下を目指す人
・勉強に遅れがあり、基礎が固まっていない人
・勉強習慣が出来ておらず、管理されないと学習が進まない人
・大きくサピックスで出遅れてしまった人

ここで勘違いしてほしくないのは、
サピックスに向いていない=受験に向いていない
ではないということです。お子さんそれぞれにペースもあります。道はひとつではありません。

また、サピックスに通うことにもメリット・デメリットの双方あります。

サピックスは優れた進学塾だと思いますが、
とはいえ、サピックスの流れに乗ることだけが正解とも言えません。

SAPIXにはどんなメリット・デメリットが有るのか?

メリット デメリット
☑講師のレベルが高い
☑他の生徒のレベルが高く基準が高い中で学べる
☑中学受験に対する豊富なデータ・情報があり優れた情報や対策が得られる
☑課題やプリントなどが良質
☑集団授業のためひとりひとりには合わせてもらえない
☑基礎を固めたり遅れを取り戻させてくれる塾ではない
☑学習管理や習慣のフォローはしてもらえない
☑置いていかれる子は置いていかれてしまう

サピックスでついていけているかどうか以上に大切なのは、
お子さんが着実にステップアップ出来るように、正しく勉強に向き合えているかです。

なぜ、サピックスに通っているのに成績が伸びないのか???

進学塾として合格を目指すなら良い環境のはずですが、成績が伸びないケースは何が問題なのでしょうか。

ざっと、一般的に多い原因を書き出すと、

サピックスで成績が伸びない主な原因
・基礎が出来ておらず、適切な課題に取り組めていない
・問題への向き合い方が少しズレてしまっている
・いまのレベルがサピックスと合ってない
・学習習慣が出来ていない
・遅れてしまって悪いサイクルに入っている
・ペースややり方が性格的にサピックスと相性が悪い

原因可能性①そもそも基礎力が足りていない

サピックスは受験で合格することにフォーカスした進学塾です。
進むスピードも早く量も多くなります。

そして何より、基礎固めをしたり、出来ていないところをひとりひとりに合わせるような指導方法ではありません。
そのため、基礎が出来ていない状態だと、単純に授業の内容やスピードについていけなくなるのです。

どんな問題も、基礎理解の上に成り立ちます。
基本がないのに、難しい問題や応用問題を解いても力は付きません。

意外と思われるかもしれませんが、学校のテストの成績が悪くない子でも基礎が固まっていないことはよくあります。

私はこれを表面成績と実質成績と読んでいます。

さまざまなテストというのは、知識の組み合わせで解けてしまうことがとても多いです。
それなりに勉強している子は「この問題見たことある!解いたことある!」という感じで点がとれてしまいます。

普段勉強を全然していない子でも、テスト前に暗記で詰め込むことでそれなりに点がとれることも。
あなたが学生の頃にも目にしたことがないでしょうか。

この場合、点がとれている=力がちゃんとついている とは限らないのです。
答えを知っている問題が解けるのと、学んだことを活かして問題を解くのとでは少し意味が違います。

それゆえ、いままで点数をとれていたのに、急に周りの子についていけなくなるような現象が起きることがあるのです。
実質的にどの程度理解できているのかを冷静に判断する必要があります。

つまり、一見すると点数もとれていて、基礎が出来ているように見えて、
実は必要なだけの基礎力が身につけられていない場合、サピックスのような塾に入ると苦労してしまいます。

原因可能性②サピックスのペースに対する遅れと負の連鎖

ひとつのつまづきが負の連鎖を生むことは少なくありません。

サピックスは勉強量もスピードも早いといいました。
その過程では、優秀な子でさえも、苦手やすっとクリアできないことに直面することがあります。

苦手やわからないことが出てくると、その次に習うことにも悪影響を与えてしまいます。
なんとか必死についていこうとしても、過去にできてしまった苦手やわからないことを解決しなければなりません。
それを解決できないままでいると、苦手が増え続け、自信を失います。
自信を失えば、より授業や眼の前の勉強に対しての意欲や集中力は下がっていきます。

このように、どんどんと負の連鎖が起きてしまうことがあります。

上述のようにわかりやすく見えるかたちならまだ良いのですが、
人間ですから、見えにくいちょっとしたところで問題を抱えることもあります。

そして多くのお子さんは(実は大人も)、そういった時の乗り越え方を知りません。

特に、真面目にコツコツ積み上げてきて、順調に高い成績を維持してきたお子さんにとって、
挫折したり、失敗した経験はないでしょうから、対処は簡単ではないことも。

精神的にも辛い思いをしてしまうこともあります。
お子さんと「どこでつまづいたのか」をともに考え、それを乗り越えていくようなコミュニケーションをとり、紐解いていく必要があります。

原因可能性③伸びにくい勉強の仕方になってしまっている

勉強には成績が伸びにくい向き合い方・取り組み方があります。

それが「勉強をこなす」ようなやり方です。
勉強をするということが目的となってしまい、作業化されてしまうケースがあるのです。

具体的に言えば、
「宿題を提出すればOK」
「1日2時間勉強すればOK」
というような考え方で勉強すること。

これでは、宿題を出すことや2時間勉強することが目的になってしまっていて、勉強は作業になり、同じ時間の勉強でも効果が薄れてしまいます。

もっとも大切のなのは「何を達成したのか」であるはずです。
・この単元が完璧に理解できた、とか。
・計算問題50問を1分で全問正解できるようになった。
など。

目の前の勉強を通じて「これが出来るようになった!」という成長が何より大切なはずです。

それを無視した勉強への向き合い方は、伸び率がとても悪くなります。

その代表的なものはがこちら↓です。

伸びにくい子の問題や勉強への向き合い方
①解き方を丸暗記するような吸収の仕方になっている
②宿題や普段の問題に対して、”こなす”ような勉強の仕方になっている
③式や図、グラフを書かず、問題を解こうとする(プロセスを大事にしない)
④勉強に費やしている時間が少なめ

さまざま試してみたりして、試行錯誤しながら、納得行くように問題を解き進める。すると発見があったり、力がついていきます。
目の前の問題に向き合って、じっくり思考することが大事なこともあるのです。

そういった問題に対しても「答えが出ればOK!習ったとおりにサクッと終わらせちゃおう!」というスタンスで解いていたらどうでしょうか。

このように、宿題を終わらせたことや2時間勉強すると、やった気になれるし、ちょっとした達成感はあるかもしれません。

しかし、ちゃんと向き合わなければ本当の意味で力になっていないことも多いのです。

 

原因可能性④隠れ課題(=隠れたところに問題が生じている)

これは前述の「伸びにくい勉強の仕方」や「表面成績・実質成績」の話と大変似ているところですが、実は見えないところで課題が生じているケースがあります。

例えば”知識の組み合わせ”で問題を解いている子などはその典型です。

テスト問題などは、知識の組み合わせで解けることは少なく有りません。
しかし、知識の組み合わせで対応することばかりしていると、習ったことでや見たことがある問題なら対応出来るのですが、ひねりを加えたり、応用問題になると対応できなくなることがあるのです。

「なぜそうなるのか?」など思考したり探求する癖をつけて、道筋立てて考えていく力を養わなければ、

結果的に、
「知識で解ける問題は得意だが、思考力が問われるような問題は急に苦手」
という状況が生まてしまうのです。
基礎的なテストでは現れにくい課題です。

原因可能性⑤勉強習慣が出来ていない

サピックスでは、たくさんの宿題・課題が出されます。
授業は課題をしっかりこなしていなければ、ついていけません。
課題に取り組まずに受ける授業は意味のないものになります。

また、サピックスは基礎固めのための塾ではありません。
新しく習うことをちゃんと理解して身につけるためにも、自学習は欠かせません。

宿題の目的は、授業前にしっかり考えて準備をすることであり、
基礎や習ったことへの習熟度を上げていくことです。この習慣がないと成績は伸びません。

難易度も高く、量も多い課題です。小学校の宿題とは異なり、溜め込んでしまえばどんどん遅れが生じます。
日々ちゃんと取り組んでいく習慣がつくれていない子は苦しむことになります。

塾では「宿題をちゃんとやったか」まではフォローしてくれません。
もしも、ご本人にしっかりと勉強習慣が身についていなければ、ご家庭で管理・確認してあげながら習慣化していく必要があります。

ご家庭で、確認すべきことは「日々のやるべきことをやれたか」だけではなく、「理解して進められたか」もとても大切です。

ちゃんと宿題やったの?だけではなく、何を学んだの?理解できた?どんな内容だったの?といったコミュニケーションをとりながら、お子さんの習慣や勉強への向き合い方を確認してみると良いかもしれません。

原因可能性⑥サピックスとの相性が悪い

これは、どうしようもない問題ですが、どうしても場になじめない、好きになれない子もいます。
通うモチベーションが低く、むしろ苦痛を感じている場合も。

まわりの子と合わない、塾の雰囲気が合わない、など。
嫌いな場所で勉強を好きになれるわけがないし、

サピックスだけが選択肢ではありません。親御さんが不安になる気持ちもわかりますが、お子さんがどんな気持ちでいるのかしっかりと聞き、受け止めてあげましょう、

サピックスで成績が伸びない人が考えてしまうことと対処法

SAPIXについていけないなら、受験は諦めたほうがいいのか?

サピックスで周りの子についていけず、偏差値も上がっていません。志望校は無理なのかなと思い始めています。諦めた方が良いでしょうか?

このような質問いただくこともあります。

結論、諦める必要はありません。
いまの成績はあくまで参考指標です。気にしすぎないことです。

サピックスのペースにしっかりついていける子は、合格する可能性が高い子かもしれません。その子たちと比べて焦ってしまう方もいます。
しかし、理解のペースは人それぞれです。サピックスペースでなければ、合格出来ないということではないのです。

何より大切なのは「どこで躓いているのか?」「なぜ成績が伸びてこないのか?」という原因としっかりと向き合うこと。

その結果、どうしても時間が足りない場合には、目指す学校の偏差値を下げて確実性をとることもひとつの選択肢ではあります。

しかし、原因と向き合わないで諦めるのは良い選択とは言えません。

その子が伸び悩んでいる原因と向き合って軌道修正できれば、大きく伸びる可能性は十分にあります。

焦る必要はありませんし、お子さんに対して過度なプレッシャーを与える必要もありません。

ただ、お子さんを信じること。

そして、正しい努力を続けられるようにサポートしてあげてください。

転塾を考えたほうがいいのか?

サピックスに通うメリットは、良質な課題、最新の受験対策に関する情報が手に入ること。
また、やめてしまうと再度入塾できる可能性が低くなってしまいます。

難関校を狙っているのであれば、なおさら転塾には迷われると思います。

転塾することで、大きく環境が変わってしまうのはお子さんにとって負荷になる可能性もあります。
転塾先選びで失敗して、ダメな塾に乗り換えてしまうリスクもありますよね。

ですので、個別指導などの補講塾や家庭教師等をプラスで試してみて、補っていくという作戦もひとつです。
(ただ、もちろん追加で費用もかかりますので、家計の負担などを考えると難しい選択肢かもしれません。)

また、一方で続けていくリスクもあります。

今うまくいっていないサイクル・環境を維持し続けても、好転するどころか、遅れを増やしてしまい、悪いサイクルが連鎖します。

そもそも、サピックスに通うのが目的ではなく、合格を勝ち取ることが大切です。思い切って環境を変えるのも手です。

では…果たしてどうすればいいのでしょうか?

こういった状況でとるべき行動を私は以下の3つだと考えています。

  1. 原因と対策をしっかりと考える
  2. サピックスに素直に相談する
  3. 転塾先探しを行い、いろいろな塾に相談する。

どれかひとつではなく、3つとも同時に行ってみてください。

1.原因と対策をしっかりと考える

成績が伸びない・躓いている原因をしっかりと分析しましょう。そして足りないものを明確にして、それをどのように補うのが良いか検討します。

基礎力不足なら、補足教材や一時的に基礎固めのための塾に通ったり、ご家庭で重点的に勉強することで取り戻せるかもしれません。

勉強習慣が整っておらず、勉強量が少ないのであれば、学習習慣や勉強量を適切に確保できるようにご家庭でフォローしたり、サポートしてくれる塾やサービスを探しても良いかもしれません。

もちろん、受験や勉強を教えるプロではない親御さんや保護者の方では、正しい答えを出せるかはわかりません。
しかし、きちんと向き合い、ああじゃないか、こうじゃないか?とまず考えて、整理してみることが大切です。

2.サピックスに素直に相談する

当然サピックスは、同じように悩む生徒さんをたくさん見てきています。
そして相手は、中学受験塾最大手のプロたちです。適切なアドバイスをしてもらえる可能性があります。

少し言いにくいところもあるかもしれませんが、ここはお子さんのためです。一度相談してみてください。

もちろん、利益を追求する企業です。すべて本当のことを言ってくれるかわかりません。
また、あなたのお子さんはたくさんいる生徒さんの中のひとりです。お子さんひとりひとりにあったアドバイスがもらえるかもわかりません。

ただ、いま教えてくれている塾の、プロがなんと言ってくれるのか。聞いておくべきです。
転塾するにしても、それがひとつの基準や参考となるはずです。

3.転塾先探しを行い、いろいろな塾に相談する。

転塾を迷っているとしても、転塾先探しをはじめましょう。

転塾したくても、ふさわしい塾が見つからない可能性もあります。
まずは、噂などに惑わされず、色々な塾の話を聞いてみると良いです。

いまのお悩みを率直にぶつけて、適切な回答をしてもらえるか見極めましょう。そして、お子さんに合いそうか?合格に導いてくれそうか?を冷静に判断しましょう。

①〜③を実行すると選択肢が広がり、冷静に良い選択肢を見極められるようになります。

サピックスよりも良い環境が見つかれば、転塾すればいいのです。
見つからないなら、伸び悩みの原因を解消するために、いまできる最善を尽くすしかないですよね。

一番やってはいけないのは、この2つ。
・うまくいってないけどやめるのが不安で続ける
・続けるのが不安になって他の塾に飛びつく
ということです。

前者は、うまくいっていないのに、「もったいない」「サピックス以外は不安」といった漠然とした理由で、状況を良くしようとしないことです。
そうしている間にも、どんどん状況が悪化してしまうかもしれません。

後者は、不安で転塾を慌てて決めてしまうことです。塾側も良い言葉を並べ立てて、転塾してもらおうと営業をがんばります。
それを聞いて「いまよりも良さそうかも」と思い込んで転塾して失敗した事例は本当にたくさんあります。

このようなことを防ぎ、出来る限り冷静に良い選択をするためにも①〜③をすべてちゃんと実行してほしいと思います。

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